Project Story 01 /整列搬送

流れのプロセスを解析することで
自動整列搬送を究める

供給機に入ったチョコレートの山が、ゲートを通るたびに整然と一列に並んでいく。
品物の動きを一つひとつ突き詰めて生まれた整列搬送の新しいカタチとは。

構造設計担当

技術部 課長代理

機械組立担当

製作部

営業担当

営業部

Chapter 1

流れを一つひとつのステップに分ける

構造設計担当:製菓メーカーのお客様から、「チョコレートをチョコレートでコーティングするエンローバー機の前工程を効率化したい」という要望がありました。従来のエンローバー機の前工程は、バラバラに積まれた四角いチョコレートを、すべて手作業で並べていたんですね。この「1列12個に並べる」手作業の工程を、振動搬送機で自動整列させて省人化したいというものでした。
以前、これに似た機構で、薬の錠剤の割れや欠けを目視で検査しやすいよう一列にする「錠剤目視検査機」を作ったことがありましたから、当初は「まあ、いけるだろう」と考えていました。

営業担当:もとは、関連会社の東京自動機械製作所経由で社長の佐藤に話があり、「整列搬送ならTOSETSU」ということで、当社に正式に依頼を受けました。お話を頂いてから5か月ほど実験を重ね、何度かやり取りして提案書を提出しました。

構造設計担当:まずはバラバラに積まれたチョコレートをどうやって一列に整列させるかが課題でした。山積みのチョコレートを一気に整列させることは無理ですから、一列になるまでの過程を一つひとつのステップに分けて考えてみたんです。
たとえば、「立ち上がったチョコレートを寝かせる」「重なったチョコレートを分ける」「個別になったチョコレートを縦方向に並べる」といったように、各セクションに必要な動きを、トラフの形状やフィーダーの駆動部分に反映してみようと思ったんです。

機械組立担当:エンローバーまでの距離が約1,200mmで、一つのセクションが400~500mmです。
トラフを蛇腹の形状にしたり、段をつけてみたり、設計をもとに、アイデアを出し合いながらいろいろな形の部品を作りましたね。「作っては流す、流しては作る」を繰り返して文字通り試行錯誤の連続でした。

Chapter 2

現象には必ず原因があることの重要性

構造設計担当:錠剤目視検査機の知見があったので、それなりの自信もあったのですが、当然はじめからうまくいった訳ではなく、途中不安になることもしばしばありました。
設計の図面にする前に、実寸大のチョコレートを用意して、自分の机の上で一つひとつの動きや流れをいろいろ検証してみました。私の机の上にいつもチョコレートがありましたね。
チョコレートをバラバラにしたときの落ち方を見たり、定規をジグザクにあてて動かしたりしました。流れを3つのセクション構成に整理するまで、動きを徹底的に見極めていきました。
そんな姿を見てか、現役エンジニアの会長から「これはうまくいかないよ、うまくいったらすごいけどね」なんて言われたりもしました(笑)

機械組立担当:現場では設計担当だけに任せたまま、口を開けて待っているわけではないので、設計部に直接行って、図面が整う前に意図を確認して先に作っておくなんてこともよくあります。実機で実際に動かしてみた方が、原因がわかり易くなったりしますからね。

構造設計担当:実機で設計のフィードバックがすぐにわかるのはとても助かりました。特にセクションごとの動きを再現するトラフの形状は、自社でも前例がありませんし、後から微調整が難しい形状でしたのでかなり度胸がいる決断でした。

機械組立担当:「図面描いたから作って」って丸投げされたら角も立つけどね。同じ仕事をするならギクシャクするよりも、みんなでワイワイと声かけあってやった方が早いでしょう(笑)

構造設計担当:プロセスを分けることで動きも複雑になって作る側は大変ですが、確実性と再現性を担保するには、このやり方しかないと思ったんです。
起きている現象には必ず原因があって、 原因と結果を正しく捉えることがいかに重要か、実感したプロジェクトでもありました。そこを正確に捉えないと、設計の方向性がまったく違ってきてしまいます。一人の思い付きも限界があるので、今回も会長や営業担当にも意見を聞いたりしましたが、今後もいろいろな人の力を借りて、そこはブレないようにしようと思いました。

Chapter 3

納品前のトラブル、でも妥協はしない

構造設計担当:テストが安定してようやく調整の段階に入ったところで、今度は別のトラブルが発生しました。
チョコレートが整列したあと、一列ずつ送り出してゲートを開けて搬送し、ゲートを閉めたら次の列を通すためにゲートを開けるという動作があるのですが、チョコレート同士がくっついてしまい、2個連続で送り出されてしまう現象が起きたんです。そこで急きょ、解決するために新しい機構を追加することになりました。

機械組立担当:形が決まった段階で、機構を追加するのは結構大変なんですよ(笑)新しい部品を取り付けるために機械の下から潜り込んで穴を空けたり、電気系の配線を変えたりすることもあります。
本来は、最初の図面ができたら、その後の変更や調整を想定してある程度の逃げ道をつくって組み上げているのですが、まったく新しい機構の追加でしたからね。

構造設計担当:そうですよね。設計の段階でも調整が予想される箇所は、代替対応ができるように逃げ道を作っているのですが、それがダメなときは、担当に潜り込んでもらいます(笑)
今回は納品前で時間がなかったのでとても焦りましたが、ここで妥協すると、後ろの工程だけでなく工場ライン全体に影響が出てしまいます。このときも現象を踏まえて原因を突き詰めることがやはり大切だと思いました。

営業担当:おかげさまで、追加した機構部分も落ち着き、納品前の調整段階に入りました。社内の評価も高いですし、何よりも現行の工程の処理能力が上がり省人化につながると想定しています。

構造設計担当:今回の整列搬送で得られた仕組みと技術は、搬送の安定性など他の搬送機械にも応用できると思います。さらに実績を重ねて安定性を高め、付加価値の高い設備や機械を設計していきたいですね。